元LINE社長、ついに始動。新たな世界構想に迫る ~GMO VenturePartnersは ワールドクラスの日本発起業家を応援します

LINEというサービスをご存知だろうか—この問いにNoと答える読者はいないだろう。
誰もが知るこの巨大メッセージングアプリは、4年前の2011年6月にサービスを開始してから、日本、タイ、台湾等のアジア中心に、登録ユーザ数6億人弱を誇るまでに成長し、時価総額1兆円規模での上場も噂されている。
それでは、LINEをゼロから立ち上げ、アジアの巨大サービスに育て上げた経営者についてはどうだろうか。
こちらもご存知の方が大多数であろう。今年3月にLINE社長を退任され、ご自身で起業というアグレッシブな道を選ばれた敏腕経営者、森川亮氏その人である。
GMO VenturePartnersでは、森川亮氏が4月10日に開始する新サービス「C Channel(※)」に対しシードラウンドでの出資を行う。
2014年4月6日、サービス開始前夜ともいえるこの日に、我々は「超人」森川氏のスピード感と気迫を捕捉することができた。今回はその一部をお伝えする。


(※)森川亮氏が代表を務めるC Channel株式会社は、動画ファッション雑誌「C Channel(http://www.cchan.tv/)」のβサービスを2015年4月10日より開始する。本サービスは世界各国で拡大する動画市場に向け、日本の強みであるファッションやフード、トラベル情報などを動画で制作し配信するもので、テレビ業界とインターネット業界のメンバーが集まりクオリティの高い縦長の動画を制作・配信する。当初はWEB版サービスを開始、その後スマートフォンアプリの提供予定である。

今回GMOグループからはサーバ等のインフラでのご支援もさせて頂く予定である。


森川:やっと色々落ち着きまして、今日からほとんど徹夜で挑もうと思います。

前お話したときに「動画のピンタレストです」という風な伝え方もしたかと思いますけども、最初はある程度限定した方に絞って、クオリティを上げてやっていきます。で、女性をターゲットにして、ファッションとか、グルメとか、旅行とかそういうものをマガジン的に出していきます。

今後は、海外・地方等のターゲット層の範囲、カテゴリも絞った方がいいのか広げた方がいいのか、そういう部分を数字を見ながら考えていきたいなあという風に思っています。

ちょっとお見せしたいんですが、これがPCとスマホでみたプロダクトです。

森川:これは自撮りですね。プロが撮ったものと素人が撮ったもの両方がございまして、これは後者で、自撮りです。友達とペアで撮っているものもありまして、どんどん撮り溜めてUPしていっているような感じです。

プロが撮るものは、ある程度ターゲットをフォーカスして、例えば音楽もいいでしょうし映画もいいでしょうしカルチャー的なものもできるかなあと。あとファッションショーの取材とか、そういうものもいけるかと思っています。

村松:やっぱり「縦」というのが、どきどきしますね。。

森川:そうですね~ほんとに。直感的に分かりやすいというか、人を撮るのはやっぱ縦が良いですね。特に一人の人を撮るときは。TVの撮り方って結局、店員さんとレポーターとか、必ず複数を撮ってきたので。で、今回一番のポイントはC ChannelはコミュニケーションのCなので「話しかけるように撮ってください」と。ということで、前に友達がいるイメージで話しかけるような感じで、距離がすごい近いんですよね。こういうのを真面目に撮っていくような人ってのは世の中にあんまりいないと思うので、真似できそうで結構できないかなと思っています。


宮坂:ちょっとここからはジェネラルに質問をしていこうと思います。これは皆さん気になっていることだと思うのですが、何故いま、起業というご決断をされたのでしょうか?

森川:そうですね、僕自身、LINEの事業を長くやって、やりきったところもあるますし。もう一度リセットしたいなあって思っていまして。あとまあ僕はいろんな起業家を応援しているんですけど、ときどき、お前は起業したことないだろと、そういう風に厳しく言われる場合もあるので(笑)まあそれだったらやってやろうと、というところもひとつありますね。

宮坂:その決断の中で、何故この市場とかドメインで勝負したいと思われたのですか?

森川:僕がやるのであれば、例えばゲームをやって儲けますとか、伸びてるサービスを真似して儲けますみたいなことだとあんまり社会的にも意味がないかなとおもっていまして。こう社会にとってインパクトのあるものをやりたいなと。そうは言っても、じゃあ教育とか医療とかエネルギーっていうのはまだちょっと早いのかなと思っていて。

そんな中で、メディアに関してはかなり世界的な変革のタイミングなのかなと。ちょうど僕の長い社会人経験だと、地上波から多チャンネルのケーブルが出て、そこからCNNとかMTVが出てきたときと、同じような空気感を感じるんですよね。ましてや僕はメディア業界出身(森川氏は日テレ出身)だし、メディアを変えたい人ってけっこう経営者の中にも多いのかなというところで。ここは「社会を変える」ことと「収益を上げる」こと両方実現できるので、自分としては一番いいかな、という風に思ったところがありますね。

宮坂:今のチームの方々は、各分野でかなり卓越したスキルを持った方々だと思うのですが、どのようなモチベーションで会社にジョインされたのでしょうか。

森川:昔一緒に働いたことがあったりして、もともと彼らは僕の事をよく知っているので、僕がどのぐらい本気になるのかっていうところは大体わかるんですよね。そういう意味だと、僕が本気になったら必ず結果を出すというところはずっと見せてきたので。説明して一時間で皆決めてくれましたね。ありがたいことです。はい。

宮坂:徹夜でやるって先程おっしゃってましたもんね。本気度という部分でいうと。

村松:あの森川さんが徹夜でやるってところがすごいですよね。

森川:いやいや!(笑)やっぱりビジネスっていうのは命かけないと。それでも失敗するんだから、チャラチャラやってられないかなというところです。

かなり詰めて、相当速いスピードで動いてますね。

宮坂:ところでですね、LINE事業を急成長させられる上で培われた知見というものがあられると思うのですけど、その中で今回の事業に活かせそうな部分でどんなところでしょうか。

森川:まずはスピードですね、どうしたらスピードが速まるのかって言う部分が、だいたい経験値としてあるので。あとデザイン。デザインが強いITの会社って日本にはほとんどないと思います。それと海外展開ですかね。海外って一言で言っても国ごとに文化も違うしコミューンもちがうし、その中でどこを取りに行くかという部分。これはまず出してみないとわからないですけど、僕の経験上かなりフォーカスしないと海外はとれない。まあ日本的というところではタイとか台湾は絶対に押さえるべきかなと思っています。

宮坂:今後3~5年間における、中長期の目標はどんな方向性でしょうか?

森川:先ほどお話しした、メディアの代わり身でMTVとかCNNが出たような形で、ネットのメディア時代のMTVとかCNNみたいなものになりたいなと思っていますので、そのためにはチョロチョロやっていると、絶対勝てないですよね。で、彼らのやってきたヒストリーをみていると、かなり強烈にブランドを作って、コンテンツの質を高めて、一気にそれを海外に展開していったので、それをここ一年以内にやりきることがとても重要かなと。そうしないと他にキャッチアップされちゃいますんでね。多分出して話題になると中国にC Channelできますよ、必ず。まあCかBかDかわからないですけど(笑)それをどうスピードで超えていくかですよ。

村松:中国でという話で言うと、最初に思いつくのはTencentが似たようなサービスを投入してくるっていうですね、ありがちなことを非常に思うんですけど。彼らはもともとQQをやっていて、LINEが成功したのを見てWeChatに振ってきてってことだと思いますし。まあ当然そういう動きを、他の大手もしてくると思うんですよね。

そしてイノベーションが本当に大きなものが起きるときっていうのは、他の人がやりにくいっていうかですね、WeChatやるときも彼ら相当な決意で、社内で既存の収益も全部捨ててやるっていう風に一大決心してやったと思うんですよね。そういうことってあまりできないと思うんですけど。

逆に今回のこの事業はですね、既存の方がやりにくいものなのか、あるいは割とみんながアドオンでやってくるようなものなのか、どのようにお考えでしょうか。

森川:まずはメディア業界からすると非常にやりにくいですね。広告で食い合ってしまいますし。

あと今回、作り手側に縦で作れっていうことに関して相当時間をかけまして、なぜ縦なんだと、今までの技術はどうするんだとか。出演する方も、全く新しい出方なので、すごく最初抵抗あったんですよね。

おそらくプライドがあるので、メディア業界はC Channelまでは絶対やらないでしょうね。それは映画業界がテレビの真似をしなかったのと一緒で。

一方でITの会社さんで言うと、デザインとかコンテンツが分かる会社はあまりないので、おそらくそこも難しいのかなというところがあります。

宮坂:今回の株主の顔ぶれなんですけど、資金調達される上でどこから調達するかというのは非常に重要だと思うのですが、どういうところを重要視して選ばれたのでしょうか。

森川:まずは、こういった事業に理解いただける方々。かつ社会的に非常に影響力のある会社さんにまずは加わって頂いたのかなと思っていまして。で、たとえばメディアとかからも入れてもらった方がいいじゃないかとか、色んな意見もあったんですが、僕たちはどちらかというとそれを変えようとしているので、おそらくある程度力を持った段階で入って頂かないと、逆にスピードが遅くなってしまうのかなと。まずはIT業界で影響力をもっていて、かつ共感してくれる方々に今回はご一緒頂いたというところですね。

宮坂:我々のグループにご期待頂いているところはどういった部分でしょうか?

森川:まずはこの考え方に共感頂いて、一緒に世界を獲りに行きたいなと。いままで日本のメディアで世界を獲った会社は一社もないので、それをやりきった上で、もう少し事業規模の大きいところも一緒に見たいなというところもありますし。その上で動画というのはインフラ事業に非常に近いので、そこはGMOグループで非常に強みとして持たれている部分ですよね、今回一年間無料のご提案とかも頂いたりしてますので、それを海外に広げていきながらご一緒できたらなと思います。他にもグループでいろんな機能を持たれているので、色んな意味で是非協力できたらなと思っています。

村松:前からすごく聞きたかったことがあってですね、LINE時代に何度か講演をお聞きしまして、LINEには事業計画・数字目標がありませんと。

たしかにB2C/C2Cですからね、無いというのも分かるは分かるんですけど、とはいえある程度の数字目標があるはずなのに、全く無いっていうのはどういうことだろうと。前からちょっとお聞きしたかったんですけど。それは本当だったんでしょうか?

森川:大体自分の頭の中にあるんですよね。まあ結局その、いくつかのKPIがあるとそれに単価をかければ大体数字って出るじゃないですか。コストは大体人件費とインフラとオフィス代、あとはマーケティングをどう絞ったり開けたりするかなので、大体頭の中に数字感はあるので、あまりそれを共有しないってことですね。

なんか多分、社長が数字の話をすると部下が変に数字を意識しちゃうので、なるべくその、サービスクオリティとか、重要な主要のKPIだけを語るようにして。

ただ裏側ではもちろんちゃんと数字を意識してました。キャッシュフローが一番大事なので。でもまあ会社の文化を作るって意味では、最高のものを作ろうというところに集中した方が、結果的に数字は上がるはずなので、そういうやり方をしてきたってところですかね。

村松:それは新会社でも同様なのでしょうか?

森川:そうですね、基本的にKPIってすごくシンプルなものがいくつか出てくると思うので、コストを下げながらその数字のパフォーマンスがどんぐらい投資効果あるのかっていうのを見ながら、一番効果がでるところにチューンナップしていくっていう形を夏くらいまでにやると、もう少しその、お金じゃないクリアな数字でイメージができるのかなって思っていまして。まずはちょっと今だしてみて、どのKPIがどうなっているのかっていうのを見ながら、数字の足は、勿論ちゃんとしたいと思っています。まあ僕はアーティストじゃないので、そこはご安心頂ければ。見た目こんな髪型してますけど(笑)ちゃんと数字は意識してやってきておりますんで。

村松:今までのお話からは「スマホ時代の新しいMTVを作る」っていう風に非常に聞こえたんですけども、森川さんから見てMTVっていうのはどういう点が革命的だったんでしょうか。

森川:ちょっとうまく言えないんですけど、MTVとかVirginっていうのは、それを聞いただけでワクワクするブランドを作ったと思うんですよね。日本はちょっとブランドが苦手な会社が多くて、SONYは昔そうだったのに、それがなくなっちゃったんですよ。日本発の、ワクワクするメディアブランドが出たら、それだけで凄いことじゃないかなと勝手に思っているんですけど。あ、だめですかね?(笑)それは結果で、儲けなきゃいけないんですけど、とはいえワクワクするものじゃないと儲からないと思うんですけどね。いま日本企業はコストを下げるとか、単価をさげるとかいうことばっかりやっていて、でもほんとは日本人がやるべきなのは、高くてもワクワクするもの、なので広告も安売りせずにホントに共感できるところからしっかりお金頂くような、そういうものを作るべきかなと。

村松:なんとなくですけど、私が感じるMTVとかVirginというのは、その時代のあまり光があたっていない若者にすごくフォーカスして、彼らの気持ちを代弁する形で、非常に新しいPOPカルチャーというかカウンターカルチャーを産み出したっていうかですね。ケーブルテレビ時代には一気にMTVが出てきたと思いますし、Snapchatもそういう意味で言うと10代からスタートしたと思うんですけど、これまであまりグルーピングされてなかったというか、バラバラだった独特のセグメントを一つに融合してカルチャーにしたという感じがなんとなくしますので、「映像発信欲求がすごくあるんだけど、どこにもそんなプラットフォームがないのでなにも起きてない」っていう現状に、カウンターカルチャーをぶっ立てるっていうんですかね、そんなイメージで、合ってますかね。

森川:そうですね、なんで今回アソビシステムと組んだのもそういうところがありまして、きゃりーぱみゅぱみゅさんをはじめ、アーティスト+タレントみたいな要素があって。たぶん今日本の場合って、とんがりすぎると上手く行かないってとこがあるんですよね、多少ゆるさみたいな、その辺りのさじ加減を摸索しながら、結果的にそこからスターが生まれてしまう、そういう作り方かなと。イメージ感としては、そういうイメージはもっています。

(途中GMOインターネットグループ代表の熊谷も参加)

GMO-VP:大変面白い構想にご一緒できて非常に光栄です!

C Channel: http://www.cchan.tv/