「働き方の常識を変える」クラウドソーシング最大手ランサーズが調達に踏み切るまで、そして調達後に何を思ったのか?

~プラットフォーム型ビジネスで黒字化済みの会社が資金調達をした理由~

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グローバルベースでは2013年には約2,000億円、2016-2018年には1兆円を超えるともいわれるクラウドソーシング市場。インターネットさえ繋がっていれば、スキルを持つ個人が会社に所属せずとも才能を発揮し収入を得ることができる。世界ではそのような未来がいま、クラウドソーシングという新しい仕組みによって実現しようとしている。一方、日本でも終身雇用制度の崩壊、働き方・価値観の多様化、グローバル化など働く人々も企業側も働き方・人材の活用方法の再構築を迫られている。
 

2014年6月11日、GMO VenturePartnersはクラウドソーシングに最も早く切り込み、国内NO.1プレイヤーとして業界を率いているランサーズの秋好社長にインタビューを行い、プラットフォーム側ビジネスを行い、調達を行った経緯や考え方をインタビューした。
 


宮坂:もともと秋好さんはVCからの投資を受けず、鎌倉で100% 自己資金でやっていましたよね。そのときって、どんなことを考えて経営していたんですか?

秋好:そのときは、結構課題を感じていました。まず経営っていうことに関しては、コーチング等はやっていたのですが、利害関係者としての外部アドバイザーみたいなのがいなかったので、その部分はなんだか気になっていましたね。あとは、鎌倉っていう土地が、良い面もたくさんあるのですが、大手企業へのビジネス上のアプローチをしたい時に、自分たち単独だとやっぱり行きづらいっていうネットワーク的なところもありました。
 

宮坂:調達を考え始めた時は、何人くらいだったんですか?
 

秋好:今は約60人ですが、ちょうど1年位前なので、フルコミットじゃない人いれて10人。社員で言うと、5-6人だったと思います。

 

 

宮坂:その時に資金調達についてはどういう風に考えられていたんですか?当然成長を加速しようと資金膨らませば膨らますほど組織の内面も対外的にも、いろんな悩みも出てきますよね。いろんな先輩の経営者の方がつながりでいらっしゃって、事例も見ている。そういう時に、どれくらいの資金調達してどういう勝負をかけるかとか、そういったのはどういう風に考えられたんですか?

秋好:そうですね、ランサーズは早くから黒字化に成功していました。数千万くらいの資金であれば、自前でなんとかなった。そのため、資金調達をする場合はミニマムで数億くらいは欲しいなという感じで、その数億を事業面で最大化するにはっていう風に考えてました。

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宮坂:そうなってくると、資金も比較的に大規模に。かつ専用的なアドバイスとか、戦略の設計とか、人的なサポートとか。資金プラス、事業面でパフォーマンスを最大化するため、ということで考えたっていうことですかね。
 

秋好:そうですね、まさに。事業最大化とネットワークという考え。
 

宮坂:最終的に、いろんな投資家の方々とお会いされたと思うんですけれども、ちょうどあの時ってクラウドソーシング、だんだん注目されてきていて。
 

秋好:そうですね、ちょっと注目されてきたくらいのときですね。
 

宮坂:ですよね。だからその時多分いろんな方々からアプローチを受け、接触もされてきたでしょうし。その時に、起業家からみた投資家の色合いというか、印象のようなものを伺えますでしょうか。そもそもどんな風に選ばれたのですか?
 

秋好:それでいうと、今は、10億とか20億の調達のチャンスは多くなっていますが、当時って全くそんなことはなかった。3億でも大きい!みたいな、感じだったので。3億以上出せるプレイヤーを探すと、一気に絞られました。
 

もう1つの選択基準は、会社にとって外部株主を迎えるというのは、よく言うのは離婚できない結婚って言われますけど、それくらい、僕からすると、血を分ける。で、血を持ってもらう。とか、そういうふうな意味なので。もう、相性。人としての相性。採用以上にすごく人を見て。この人と一緒に温泉いけるかな、的な(笑)

 

宮坂:あの時から言ってましたよね(笑)最終的には温泉行くって。

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秋好:結局行かなかったですけどね(笑) 宮坂さんとお会いしたのは、そういえば偶然でしたね。年も近かったし。なんかこう、宮坂さんとは波長が、すごい合うなーと勝手に思って。その上で、クラウドソーシングというランサーズっていう事業内容とか、私のこととかを、しっかり理解しくれている方だと感じていました。ランサーズも多少なりとも、浮き沈みが過去にありましたし、今後も多分いろいろなドラマがあると思うんですけれども、いい時っていうのはいいと思うんですよね。ただ、悪くなった時に、チームランサーズとして、お互い本音で、最善でのオプションをどうやっていくんだっけ、っていうのを考えてくれる方であること、そこは大事にしましたね。
 

宮坂:僕らのGMO-VPとしての初期的な印象のところをもうちょっと聞いてもいいですか?実際に決めるまでの中で、どんな感じで印象が変わっていったとか。逆にこういうところをもっとやって欲しいとかも。
 

秋好:そうですね・・・。印象、印象・・・。

VCの方々は、事業を僕達とまた違う目線で見てくれくれる方だなと。

また、以前ブログにも書かせていただいているのですが、株主になってもらうっていうのは、ある種こう、向き会う関係だと思ってたんです。つまり対立軸にいる関係。しかし、実際にディスカッションとかしてると、対立ではなくて一緒にユーザーとか市場に対して、同じ向きで、同じ責任感で開発していく仲間なんだなっていう風に印象が変わりました。
 

宮坂:投資サイドも結構同じで、資金を出すじゃないですか。その資金はお預かりしているものなので、もしかしたら全損するかもしれない、または百倍とか数十倍になるかもしれない。それって、会社がマーケットに対してどれだけ、真摯にこういう競争環境の中でも、打って出るかっていう勝負なので。そこはやっぱり、戦略の合致っていうのを、実行フェーズでどれだけ納得してるかっていうのが重要っていうふうには考えています。
 

それで、実際に投資したあと、増資が完了した後の投資家の動きというか、我々に対して、今どんな感じですか?グロービスさんと我々で協力させて頂いていますが、ご期待に沿えているのか。沿えているとしたら、どういうところでそれはご満足頂いているのか。

秋好:これは本音で言っていんですか??(笑)

宮坂:もちろんです!(笑)

秋好:僕達は、日本で初めてクラウドソーシングを立ち上げて、「新しい働き方で多くの人の幸せに貢献する」と強い思いを持ってやっています。そこに対して、グロービズさんもGMO-VPさんもびっくりするくらい共感結構頂いているな、と。「働き方を作る」っていうビジョンに対して。そこはすごいありがたいですっていうのと。あとは、現状、我々ランサーズが日本では最大規模でやらせて頂いているんですけど、その規模とポテンシャルを大きくするというところの可能性に対して、GMO-VPさんは具体的にすごくいろいろな価値提供をして頂けている。イプシロンさんや、お名前.comさんとか、ペパボさんとかを繋いでくれて。アライアンスとしてだったり、実際に売上作る部分だったり。あとは熊谷代表との1:1の場を何度も頂いたりして。よりポテンシャルに対して後押しして頂いてるなっていうのは、すごく感じます。

宮坂:あと最後に、これから出てくる起業家や、調達を考えようとする方々に対して、これは絶対に考えた方がいい、みたいなものがありましたら何かお願いします。

秋好:わかりました。3つで言うと、1つはやっぱり人との相性、これ絶対だと思いますね。条件とかに目がくらんで、全然相性の合わない人とやってしまうと、本当に悲惨だと思います。

宮坂:いろんな方を見てきて(笑)
 

秋好:本当に大変だと思う(笑)はい。子供からすると親みたいなもので、生まれて親は変えられないというか。その、でも最初は株主を選ぶ権利を持っているわけなので、投資前は。なので人は絶対だと思いますね。もう1つは、とは言え、ちょっと冒頭に言ったことと逆のことなんですけど、条件とかっていうところも、後戻り出来ないので、ここはいろんな起業家の方とか、逆にVCの方とかとお話して、理解して働いたほうがいいかな、と思いますね。

3つ目は、増資とかってあくまでも手段だと思っているので、手段として、もっといろいろ向き合うというか、エクイティでの調達ありきではなくて、デットでもできるわけですし。こんなこといったらあれなんですけど。手段ではなくて、事業を最大化するための手段として、こうエクイティでやるっていうところの意味付けとかをちゃんと理解して、動かれるのが一番いいんじゃないかなと。

ただ、もういったん決めたら後悔しない。決めたら全力で振りきってやるっていうのがいいと思います。
 

で、GMO-VPさんは、すごい、僕は実際にやらせて頂いてありがたいなとおもってのは、やっぱり村松さんも宮坂さんも、事業サイドとしての経営経験のある方だったりするんで。なんていうんでしょうね。ともすると、いわゆるVCの方ってコンサルチックに、正しいんだけど、実際はそうじゃないよ、みたいなところがあったりするんですけど(笑)現場を見てとか、ご自身がやられてきた、シチュエーションを壁打ちとして言っていただけるので、厳しいところもありつつ、それは本当にありがたいです。特に我々の場合は法人向けのビジネスなので、B2Bの経営経験をされている方でよかったです。

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宮坂:なるほどなるほど。分かりました。最後に、これからランサーズどんな感じですか、という部分を教えて頂けると。
 

秋好:ランサーズは、今この領域で間違いなくNo.1を突っ走っています。このまま国内は圧倒的に広げて行きたいですし。『働き方を変える』というビジョンの実現のために、単純なクラウドソーシングの枠を超えて、行政や地方自治体ともお話をし、多くの方の幸せにつながるよう新しい働き方を広げていきたいです。また、グローバル展開についても動いていきます。
 

宮坂:是非ご一緒させて頂きますね。ありがとうございます。
 

秋好:有難うございます。文字起しは是非ランサーズで発注してください(笑) 1時間5,000円くらいなんで、ぜったい費用対効果がいいと思います。

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(GMO-VP:もちろん、ランサーズで発注させて頂きました!)