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2015年の東アジア・東南アジアの決済領域トレンド

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■2015年の東アジア・東南アジアの決済領域トレンド

2012年からはじめた東アジア・東南アジアの決済ベンチャーへの投資活動。4年が経過し、8社の有望な決済ベンチャーへの投資を実行出来たが、それと同時に現地のEC事情、決済業界動向において相当な知見を蓄積する事が出来た。

今後、定期的にその断面をご紹介して行きたい。

■2015年の東アジア・東南アジアの決済領域トレンドを振り返り、まとめてみる。

大局的には、以下の3点が挙げられる。

アジア全域でも吹きあれる決済・Fintechブーム
投資意向旺盛なVCの増大、参入VCの増加、それをうけて
1)決済領域で起業する起業家の増加、
2) 大手の参入・既存事業からの転向、結果としての案件増大・Valuationの高騰
が顕著な年となった。結果、シードステージでも従来のシリーズAレンジのValuationとなったり、競争激化で投資困難になる傾向にあった。

各国の規制の進行
主に台湾、ベトナムで見られた。これまで規制や許認可とは関係なく展開可能であった各種の決済代行、Eウォレットサービス、送金サービス等が規制対象となりつつあり、政府の方針をにらみながらの投資活動が求められた。


中国の対外膨張の進行
アリババグループ(タオバオ、アリペイ)、Tencentグループ(WeChatPay)、ChinaUnionPay(銀聯)の対外進出が加速した年となった。中国系経営者の事業展開スピード、経営のアグレッシブさはすさまじい。


次に国別の状況。

SINGAPOREの決済市場動向

市場環境 :政府規制・銀行のカード加盟店審査のバーの高さ
他のどの国とも異なり、異常なまでに高い加盟店審査のバー。月商が数千万円以下だと審査自体しない銀行も存在。問題がなくとも、よほどの理由がない限り「基本受け付けない」というスタンス。GMO-PGの加盟店のシンガポール進出支援においても多くの課題が顕在化した年となった。背景には政府のAML(Anti Money Laundering)強化がある。

競合状況 :大手・外資のみ、ローカル勝ち組不在のオンライン決済代行業界
自国市場の小ささ・アジアのハブ・完全英語圏、この三大要因のため、なかなかローカルプレーヤーが育たない。逆にこの要因により、WireCard、Paypal、Stripe等の欧米系大手が積極参入しており、銀行側にも加盟店側にもサービス提供、特に加盟店獲得競争は価格競争が一気に激化した年となった。独立系ローカルの生育を益々難しくしている。

同国独自の特徴・その他 :進む「その他Fintech」案件への拡散
そんな中、隣接領域である送金領域のベンチャーが複数生成しており、今後の動向が注目される状況となってきた。

次回以降、当社の投資先や拠点が存在する国別に、レポートしていきたい。

 

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